IT転職で固定残業代を確認するときは、月給の総額だけでなく、基本給・固定残業代の金額・何時間分か・超過分の扱いを確認します。求人票に「月給30万円(固定残業代を含む)」とだけ書かれている場合は、固定残業代の金額や時間数が分からないため、そのままでは条件を判断できません。
確認する順番は、求人票で概要を確認し、応募先に内訳を質問し、内定後の労働条件通知書や雇用契約書で確定させる方法です。
IT転職で固定残業代を確認する4つの項目
固定残業代の有無や金額は、次の4項目をそろえて確認します。1つでも分からない項目があれば、採用担当者に質問しましょう。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 固定残業代の有無 | 月給や年俸に固定残業代が含まれているか |
| 固定残業代の金額 | 毎月いくらが固定残業代として含まれているか |
| 対象となる時間数 | 何時間分の時間外労働に相当する金額か |
| 超過分の扱い | 対象時間を超えた時間外労働に対して、追加の割増賃金が支払われるか |
「みなし残業」「固定残業手当」「時間外勤務手当を含む」「45時間分の時間外手当を含む」といった表現も、固定残業代を示している可能性があります。ただし、名称だけで判断せず、金額と時間数を確認してください。
求人票で固定残業代を確認する方法
求人票では、給与欄と待遇欄を確認します。特に「月給に固定残業代を含む」「給与にはみなし残業代を含む」といった記載があるかを探します。
確認したい求人票の記載例
- 月給や年俸に固定残業代が含まれているか
- 固定残業代が何時間分か
- 固定残業代がいくらか
- 固定残業時間を超えた分が別途支給されるか
- 固定残業代の対象が時間外労働のみか、休日・深夜労働も含むのか
例えば「月給30万円(固定残業代30時間分・5万円を含む。超過分は別途支給)」と書かれていれば、月給30万円のうち5万円が30時間分の固定残業代です。この場合、基本給相当額は単純計算で25万円ですが、実際の賃金計算には手当の扱いなども関係するため、契約書の内訳も確認します。
一方、「月給30万円」「残業代込み」とだけ書かれ、金額や時間数が示されていない場合は、固定残業代の内容を確定できません。求人票の情報だけで「残業代が30時間分含まれている」などと推測しないでください。
応募先に固定残業代を質問する方法
求人票だけで内訳が分からない場合は、面接やメールで具体的に質問します。「残業は多いですか」と聞くだけでは固定残業代の条件は分かりません。
次のように、金額と時間数を分けて確認すると回答を得やすくなります。
提示されている月給には固定残業代が含まれていますか。含まれている場合は、何時間分で、金額はいくらでしょうか。また、その時間を超えた場合は追加で支給されますか。
年俸制のIT求人では、年俸の中に固定残業代が含まれていることもあります。その場合は、年俸だけでなく、次の点も確認してください。
- 年俸のうち固定残業代はいくらか
- 固定残業代は月給に分けていくら支給されるか
- 固定残業代は何時間分か
- 賞与や昇給の計算で基準となる賃金はどの部分か
- 固定残業時間を超えた時間外労働の追加支給があるか
口頭で説明を受けた場合も、内定後に書面で内容を確認しましょう。担当者の説明と書面の記載が異なるときは、契約前に相違点を質問することが大切です。
労働条件通知書や雇用契約書で最終確認する
入社を決める前に、労働条件通知書や雇用契約書で給与の内訳を確認します。ここに書かれた条件が、実際に契約する労働条件を判断する重要な資料になります。
書面では、次のような形で固定残業代が区別されているかを見ます。
| 項目 | 記載例 |
|---|---|
| 基本給 | 25万円 |
| 固定残業代 | 5万円(30時間分) |
| 月給 | 30万円 |
| 超過分 | 30時間を超える時間外労働については別途支給 |
このように基本給と固定残業代が区別され、時間数と超過分の扱いが明記されていれば、条件を比較しやすくなります。反対に、「基本給30万円」とだけ書かれている場合は、固定残業代が含まれていないとは限りません。給与の構成が不明なときは、会社に確認してください。
固定残業代の金額を比較するときの計算例
固定残業代の金額だけでなく、月給全体に占める割合や対象時間数も比較します。以下は実際の求人の相場を示すものではなく、仕組みを説明するための計算例です。
仮に、月給30万円の内訳が「基本給25万円、固定残業代5万円、30時間分」だとします。この場合の固定残業代の割合は、次の計算になります。
5万円 ÷ 30万円 × 100 = 約16.7%
別の求人が「月給32万円、固定残業代8万円、45時間分」なら、月給は高く見えても、固定残業代の割合は次のとおりです。
8万円 ÷ 32万円 × 100 = 25%
この2つを比べるときは、月給の差だけでなく、基本給、固定残業時間、固定残業代の金額を同じ項目で比べます。固定残業代の時間数が多い求人が直ちに違法という意味ではありませんが、勤務時間や実際の残業時間と合わせて判断する必要があります。
固定残業代で特に注意したい記載
「残業代込み」だけで詳細がない
「残業代込み」「みなし残業あり」という表現だけでは、金額や時間数が分かりません。固定残業代を含む場合は、何時間分でいくらなのか、超過分が支給されるのかを確認します。
基本給が低く、固定残業代の割合が大きい
月給が同じでも、基本給と固定残業代の内訳によって条件の見え方は変わります。基本給は、昇給、賞与、退職金などの計算基準に関係する場合があるため、会社ごとの制度も確認してください。
ただし、昇給や賞与の計算方法は会社によって異なります。固定残業代が含まれるからといって、必ず不利になる、または必ず問題があるとは判断できません。
固定残業時間を超えた分の説明がない
固定残業代は、実際の残業時間が対象時間に満たない月でも、一定額を支給する仕組みとして設けられることがあります。一方で、実際の時間外労働が対象時間を超えた場合に、その超過分まで固定残業代に含めることはできません。
「30時間分」と書かれているなら、31時間目以降の扱いを確認します。固定残業代の対象時間を超えた時間外労働について、追加の割増賃金が支払われるかが重要です。
休日労働や深夜労働が含まれている
時間外労働、休日労働、深夜労働では、適用される割増賃金の扱いが異なります。「固定残業代30時間分」と書かれていても、休日労働や深夜労働まで含むのかは別途確認が必要です。
特に、夜間対応や休日の障害対応があるIT職では、通常の時間外労働以外の勤務が発生することがあります。勤務の可能性と、その場合の手当や割増賃金を確認しましょう。
固定残業代と裁量労働制は別の制度
固定残業代は、一定時間分の時間外労働に対する賃金をあらかじめ定額で支給する仕組みです。裁量労働制は、実際の労働時間ではなく、あらかじめ定めた時間働いたものとみなす制度であり、固定残業代とは別の制度です。
ITエンジニアの求人では、「裁量労働制」「専門業務型裁量労働制」「フレックスタイム制」などの言葉が使われることがあります。固定残業代の有無を確認するときは、勤務時間の制度もあわせて次の点を確認してください。
- 所定労働時間と休憩時間
- 固定残業代の対象時間数と金額
- 実際の時間外労働が対象時間を超えた場合の扱い
- 深夜・休日勤務が発生した場合の扱い
- 裁量労働制など、別の労働時間制度が適用されるか
固定残業代に疑問があるときの判断基準
次の状態なら、入社を決める前に追加確認が必要です。
- 月給に固定残業代が含まれるか分からない
- 固定残業代の金額が書かれていない
- 何時間分か書かれていない
- 対象時間を超えた分の支払いが説明されていない
- 求人票、面接時の説明、労働条件通知書の内容が一致しない
- 休日・深夜の勤務があるのに、手当の扱いが分からない
確認するときは、求人票のスクリーンショットや会社から提示された書面を手元に置き、記載された金額と質問への回答を照らし合わせます。条件が書面で明確にならないまま、給与の総額だけで判断するのは避けましょう。
IT転職で固定残業代を確認する最初の一歩は、求人票の給与欄で「基本給・固定残業代の金額・対象時間数・超過分の扱い」を探すことです。分からない項目は応募先に質問し、最終的には労働条件通知書や雇用契約書の記載で確認してください。







