IT転職の試用期間で特に注意したいのは、試用期間中も正式な雇用契約が始まっていること、そして「本採用されない場合」の条件があいまいなまま入社しないことです。試用期間の長さ、給与、評価項目、延長や本採用拒否の条件は会社ごとに異なるため、入社前に労働条件通知書や雇用契約書で確認しましょう。
試用期間中も労働者としての権利がある
試用期間は、会社が勤務態度やスキル、業務への適性などを確認する期間です。ただし、試用期間だから雇用契約が成立していないわけではありません。入社日から労働者として扱われ、賃金の支払い、労働時間の管理、法定の休暇や社会保険などについて、通常の雇用と同じように確認が必要です。
会社が試用期間終了時に本採用を拒否する場合も、実質的には解雇にあたると判断されることがあります。そのため、「試用期間中なら会社の判断だけで、いつでも自由に契約を打ち切れる」と考えるのは危険です。
IT転職で確認したい試用期間の条件
試用期間については、次の項目を入社前に確認してください。口頭説明だけでなく、書面に記載されているかを確認することが大切です。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 期間 | 何か月か、開始日と終了予定日はいつか |
| 延長 | 延長できる条件、延長期間、延長回数が定められているか |
| 給与 | 試用期間中の基本給、固定残業代、手当、賞与の扱い |
| 業務内容 | 採用時の職種と、試用期間中に担当する業務が一致しているか |
| 評価方法 | 技術力、納期、報告・連絡・相談、顧客対応など、何を評価するか |
| 勤務地・勤務形態 | 出社、在宅勤務、客先常駐、転勤、勤務時間の条件 |
| 本採用の扱い | 試用期間終了後に自動で本採用となるのか、会社の判断が必要なのか |
特にIT求人では、「エンジニア」と書かれていても、実際には監視、テスト、ヘルプデスク、営業支援などが中心となる場合があります。開発、インフラ、運用保守などの職種名だけで判断せず、使用する技術や担当工程まで確認しましょう。
試用期間中の給与が低い場合に確認すること
試用期間中だけ給与が低く設定されていること自体は、直ちに問題になるとは限りません。ただし、試用期間中の給与額と、本採用後の給与額が労働条件通知書などに明記されているかを確認してください。
確認する際は、月給だけでなく次の点も見ます。
- 基本給はいくらか
- 固定残業代が含まれているか
- 固定残業代に含まれる時間数と、超過分の支払い方法
- 資格手当、在宅勤務手当、役職手当などが支給されるか
- 賞与や昇給の対象になるか
- 給与の減額が試用期間終了後に自動で解除されるか
「研修期間」と「試用期間」が別に設定されている場合は、それぞれの期間、給与、雇用契約の有無を分けて確認しましょう。研修中だからという理由で、働いた時間の賃金が支払われないとは限りません。
試用期間中の解雇や本採用拒否に注意する
試用期間中でも、会社が従業員を自由に解雇できるわけではありません。会社が本採用を拒否するには、採用後に判明した事情などを踏まえても、雇用を続けることが難しいといえる合理的な理由が必要になります。
例えば、求人票や面接で説明された業務と実際の業務が大きく違うのに、会社が一方的に「スキル不足」と判断するケースでは、経緯の確認が必要です。一方、採用時に示されたスキルを明らかに満たしていない、重大な経歴詐称がある、改善指導を繰り返しても業務上の問題が解消されないなど、具体的な事情がある場合は判断が異なる可能性があります。
なお、試用期間開始から14日以内は、解雇予告や解雇予告手当の扱いに例外があります。しかし、14日以内なら理由なく解雇できるという意味ではありません。解雇の有効性と、解雇予告・予告手当の扱いは別の問題です。
本採用を拒否された場合は、会社から受け取った通知、雇用契約書、評価内容、上司とのやり取りを保存してください。理由が「合わない」「期待と違う」だけで具体性がない場合は、判断材料が不足しています。必要に応じて、地域の労働局や労働相談窓口などに相談しましょう。
試用期間の延長は無制限ではない
試用期間を延長できるかどうかは、就業規則や雇用契約書に定めがあるかを確認します。延長の可能性が書かれていても、延長の理由、期間、回数が明確かを見てください。
「評価が終わっていない」という理由だけで、何度も試用期間を延長したり、低い給与のまま長期間働かせたりする条件は、入社前に詳しい説明を求めたほうがよいでしょう。延長後にどの項目を満たせば本採用になるのか、具体的な目標を確認しておくと、後の認識違いを減らせます。
社会保険や雇用保険を試用期間だからと後回しにしない
社会保険や雇用保険は、試用期間かどうかだけで加入の要否が決まるものではありません。勤務時間、勤務日数、雇用期間の見込みなどの条件を満たす場合、試用期間中でも加入対象になることがあります。
「本採用になってから加入する」と説明された場合は、加入条件を満たしていないのか、会社が手続きを遅らせているのかを確認しましょう。自分の勤務条件を整理したうえで、会社の担当者に加入予定日と手続き内容を尋ねることが重要です。
IT転職ならではの評価条件を確認する
IT職は、短期間で成果を判断しにくい業務があります。入社前に、試用期間中の評価が何によって決まるのかを具体的に確認しましょう。
- 使用する言語、フレームワーク、クラウドサービスは何か
- 担当する工程は要件定義、設計、開発、テスト、運用のどこか
- 既存システムや社内ルールを学ぶ期間が設定されているか
- 個人で達成する目標と、チームで達成する目標が区別されているか
- コードレビュー、テスト、ドキュメント作成などの評価基準があるか
- 客先常駐の場合、配属先が変わったときの評価方法はどうなるか
- 未経験者の場合、入社時に求められるスキル水準はどの程度か
「即戦力」「自走できる人材」などの表現だけでは評価基準が分かりません。入社前に、最初の1か月、3か月などの目標や、困ったときの相談先を確認しておくと、業務を始めやすくなります。
入社前に確認する手順
試用期間の条件に不安がある場合は、次の順番で確認します。
- 労働条件通知書、雇用契約書、就業規則で、試用期間の長さと給与を確認する。
- 試用期間終了後の給与、手当、賞与、勤務形態を確認する。
- 本採用拒否や試用期間延長の条件が書かれているか確認する。
- 担当する業務、使用技術、評価項目、目標を採用担当者に質問する。
- 回答と書面の内容が違う場合は、修正後の書面を受け取ってから入社を判断する。
採用担当者に質問するときは、「試用期間中の評価は何を基準に行いますか」「本採用の判断時期と基準を書面で確認できますか」のように、具体的に尋ねると回答を得やすくなります。
試用期間の注意点を判断するポイント
IT転職の試用期間で最初に確認するのは、期間、給与、業務内容、評価基準、本採用拒否や延長の条件です。試用期間中も雇用契約は始まっており、会社が理由なく自由に契約を打ち切れるわけではありません。
条件が書面にない、業務内容が求人と違う、延長や給与減額の条件が不明確といった場合は、入社前に質問し、回答を記録に残しましょう。納得できる説明や書面が得られない場合は、条件を比較したうえで入社を判断することが大切です。







